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"PYTHON" official site
updated 2013-04-22

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■某日都内某所にて、主催のOdiakeSとギターヒーローのお二人、BB氏と折倉俊則氏の三人で座談会を開いた……。

OdiakeS(以下、オ): さて、ゆるゆると視聴しながら『PYTHON』の座談会を始めてみたいと思います~。

BB(以下、B): よろしく

折倉俊則(以下、折): おねがいしますー。

■Tr.1『PYTHON』

オ: まずは最初の曲であり、表題曲の「PYTHON」ですが、これねぇ……実は、作曲して打ち込んでいる段階ではなかなか完成形が見えてこなくて悩んだのですよ。

B: でも、これ来た途端に「あ、これ(アルバムの)メインテーマだ」って思いましたよ。

折: うん、そんな感じでしたね。

オ: あっ、そうですか。

B: なんかストレートにそう感じました。

オ: 冬コミで書いた曲(「Reach Out」)の、次に書いた曲だったって事もあるのですが、ちょっとね、テイストが(「Reach Out」と)似てしまったのですよね。なので正直、イメージ被り気味でどうなんだろ? 自分ボツになってしまうかなぁって。

B: いや、でもこれは弾いていて気持ち良かったです。ただ、テーマメロディが地味に難しくて……(笑)。

オ: あ、そうでしたか(汗)。

B: ちょいちょい、弦を押さえていて「あっ、こっち飛ぶんだ」みたいな感じで。

折: 運指とか、自分たちの引き出しには無いフレーズが出てくるから新鮮でしたね。

B: (PV用に)動画をお互い撮って拝見して、「あぁこういう風に(相手は)弾いているんだ、結構違う」ってのが見えて面白かったです。

折: そうですね。お互い、違う弦で弾いてるんだ……みたいな感じで。

オ: なるほど、あれで見てお互い分かることもあるんですねぇ。

折: BBさん、しっかりtakrockers!!Tシャツ着てましたもんね(笑)。

B: そそ(笑)、しれっと宣伝しようと思って。カメラの配置の関係でギリギリに入ってたんですが、Odiさんが綺麗にトリミングしてくれました。

オ: でも、あれさー(動画を見た方から)「折倉さん、どっち弾いてるの?」なんて質問も来たりして……一目瞭然だろ!って(笑)。

折: いやいや、私がtakrockers!!Tシャツを着ているかもしれませんから(笑)。

B: (笑)。

オ: まぁでも、あのPVの宣伝効果も相まって、なかなか表題曲らしい位置づけになった気がしますね。

B: 見事にアルバムのメイントラックな曲になりましたね。

オ: 作曲しているときは不安バリバリだったけど(笑)、お二方の熱いプレイで良い感じに仕上げてくれて嬉しかったです。

■『PYTHON』のアドリププレイを聞きながら

オ: あのさ、前から思ってたけどBBさんのアドリブって、なんか「アオる」のが上手いというか(笑)、データをもらった後から、逆にバックのオケを直したりしましたよ。

折: あ、確かにドラムとベースがBBさんのギターに合わせてユニゾンしてましたよね。

オ: そそ、「妙にアオってやがんなこのフレーズ」って。なのでオケの方をBBさんに沿わせる感じで持って行くと面白いかなって。

B: 美味しく&いやらしく持っていって頂いてありがたいです。自分でニヤけておりました(笑)。

オ: (笑)。折倉さんも、この曲に関してはいつも以上に暴れてますよね~。

折: かなり頑張った方ですね(笑)。

B: やんちゃな二人を見て(聴いて)頂ければ……。でも、Odiさんだってかなりベース、ブイブイ言わせてますよね!

オ: 確かに、この曲はかなりベースラインを動かしてますね。スラップ(※ベースの演奏奏法のひとつ。バチンと弦をはじく弾き方)はほとんどやらなかったけど、その分動きまくったというか。……ねぇ。この曲をまんま、ライブでやれと言われても、……まぁ無理(笑)。

B: (笑)。でも、この曲は(周りからの期待という意味でも)やらざるを得ないんじゃないですか?

折: そうですよね、メインテーマだし。

オ: やってくれオーラは伝わってくるよね(笑)。来たるときに向けて頑張りますか……(汗)。

■Tr.2『sword maiden』

オ: これは、ゲスト「SOUND OCTA」さんの曲ですね。デモが届いて聴いたときに「あぁ……この曲はBBさんに弾いてもらった方が良いだろう」って思って。

B: そう、で、このデータを受け取って聴かせてもらって「ヤバい、この曲格好いい」って。

オ: 最初にもう一方のゲスト、圭ちゃん(圭輝さん)の曲が届いてね。これは最初から、BBさんと組んで弾いてもらおうと思ってたんですよ。「圭輝×BB」って組み合わせがそもそも新鮮で面白いなと思ったので。で、その後でこの「sword maiden」が届いて。

オ: 音源が届いた順にBBさんに送っていたわけですが、BBさんからは「じゃあ届いた順に弾かせてもらいます~」って連絡をもらったんです。……けど、蓋を開けてみたら先にこの「sword maiden」が上がってきたと言う(笑)。

B: いやー、無駄にテンション上がっちゃって抑えきれなく。自分のテイストに合っているこっちを先に上げてしまいました(笑)。

オ: この曲はホント、BBさんのためにあるような曲ですよね。

B: ツボど真ん中でした!

■カッコイイ曲は難易度だって高い!

オ: 今回のアルバムは、私が弾く弾かないに限らずベースは全曲、生演奏で入れようと思っていたんですね。それでこの曲に関しては最初から私が弾く担当だったのですが、デモが届いて……これ、大変だなぁと(笑)。

B: 最初が変拍子で、コロコロ変わりますよね。

オ: 曲を通して常に拍が定まっていないというか、例えばブロック間キメのフィルの小節(※0:51あたり)なんかは11/16拍子とか(笑)。

折: なんだそれー(笑)。

B: もう、スポーツでしたよ。身体で覚える的な。

オ: 確固たるフレーズが作られていたので、それ以外で遊ぶ余地がないというか。まぁそれだけ完成されたオケであったということでもありますけどね。

B: あと、メインメロにギターをユニゾンで重ねる曲だったので、結構、打ち込みの方に気合いが入ってた感じでしたね。

オ: そうなんですよね。最初、(SOUND OCTAさんから頂いた)ギターソロの指定が曲最後の部分だけだったので、だから、SOUND OCTAさんにもうちょっとギターが入り込める余地がないか相談したりして。

オ: あと最後のギターソロ、フェードアウトで終わってますが、アレ、実はフェードアウトの先に強烈なライトハンドが入ってるんですよ(笑)。

B: 暴れてくれとの指示でしたので(笑)。

オ: SOUND OCTAさんからは「お任せで」って指示でしたが、私の方で勝手に「暴れてくれ」指示を出していて(笑)。でも、最終的にフェードアウトしちゃったので、もったいなかったなと。残念。

■Tr.3『眩暈 -memai-』

オ: はい、次はアコギの曲ですね。

折: BBさんの方は、エレアコで弾いていたんですね。

B: 実はそうなんですよー(笑)。

折: BBさんの後で合わせる感じで弾くことになったわけですが、どうりで、近いニュアンスが出ないなーと。そもそもソコ(録り方)からして違ったんだなと(笑)。

B: 宅録環境的に(マイク録りが)難しいという状況でして、ちょっとした裏技を(笑)。

オ: 私も事情とその裏テクを聞かせてもらいましたけど、よく考えついたよね~。

B: いろいろと試行錯誤して、ライン録りにたどり着きましたから。企業秘密なので教えられません(笑)。

オ: 最初、録り音を聴かせてもらったときに「なんかバンジョーっぽい響きだな」とも思ったんですよね。そうはいっても、やはりクセみたいなのは出ちゃうのかな。

B: そうですね、まだまだ改良する必要がありそうです。

折: 弾いていて、なんか自分の音が(アタックが)強すぎるかな?って感じがしましたね。

オ: 確かに曲のミックスは相当調整した気がします。折倉さんの方が、マイクで録っているのでレンジ(※音の強弱の差)が広いのかと。まぁでもこの曲に限らず、どの曲もミックスに関しては、最後まで試行錯誤しました。

B: 混ぜ様が色々ありそうですよね。

折: ボーカル曲とは、また全然違うミックスの仕方なんでしょうね。

オ: そうだね……なんか、変な苦労はした気が(笑)。(ミックス話は後半でも熱く語ります!)

■首が絞まるほどヤバい展開に

オ: この曲も、ツインでメロディをどう絡ませようかで、いろいろと苦労しましたね。

折: 複雑とは言わないけど、結構、お互い上ハモになったり下ハモになったりで細かい絡み方しますよね。

オ: そうだねー。お互い入れ違えたり、追っかけ(輪唱)っぽくしてみたり。あとは、コード進行もかなり変です(笑)。

B: 確かに(笑)。

オ: この曲は、ブロックごとに細かく作り込んでいったんですが、ちゃんと自分の手元にアコギを用意してですね、弾きながら作っていったんですよ。だから変だけど無理なことはしてないと思う(笑)。それなりにギターに寄せた曲になっているかと思います。

B: 結構、アルバムの中でも異色な感じですよね。心地よいフュージョン。

オ: ですね、この曲を気に入ってくださってる方も多くて。そういう意味では、エレキばっかりの曲の中で良いスパイスになったのではないかと。まぁでも、もう一曲くらいアコギの曲があっても良かったかな。

折: それは次回作で(笑)。

オ: (笑)。なに、それは、自分で自分の首を絞めてる発言ですか? 分かりました、んじゃ次はアコギだらけで(笑)。

B: ドキッ!アコギだらけフュージョン(笑)。

折: それは厳しそうだ~(笑)。

B: どんどん首が絞まる~(笑)。

■Tr.4『wannabe -interlude BB-style.-』

オ: この曲はホント、BBさんらしくロックでねぇ……。フュージョンアルバムだって言ってるのに(笑)。

B: えぇ(笑)。ギター1本でやったる!みたいな。

オ: なので、ベースもピックを使ってゴリゴリっと弾かせて頂きました。

B: 暴れさせて頂きました! ……こういうギターだけで展開するようなの、ずっとやってみたかったので。

オ: 披露出来る場が作れて良かったです。(このアルバムが)ずっとウチの作曲一辺倒なのも面白くないかなと思って。お二方、せっかく作曲家としての素晴らしい一面も持っていらっしゃるので、是非書いていただこうと。

B: こんな、イカついアルバムの中に入れて頂いて、有難いやら恐ろしいやら……。

■Tr.5『Reach Out』

オ: この曲は冬コミで先行して公開した曲ですね。このアルバムではミックスを再調整したバージョンで、演奏が変わっている訳ではないんですけど、ことのほか他の曲が厚みのある曲調だらけになったので(冬コミ版では)軽快に作っていたこの曲が、逆に妙に薄っぺらくなってしまったんですよ。ベースがずっとスラップを弾いているからってのもあるのでしょうが、低域がスッカスカで。……ので、その穴埋めに、しれっと分厚いシンセ音を足しました(笑)。無理やりバランスを整えたという。

折: まさに裏話(笑)。あ、この曲のテーマフレーズがすごく好きです。

B: ですね、弾いていても気持ち良いし。この企画の最初の曲ということもあって、イメージや方向性が固まった曲でもありますね。

オ: ありがとうございます。コード進行の運びを、いかにもフュージョンらしい展開にしましたしね。で、チョコチョコとトリッキーな感じのソロポイントを差し込んだりして。……この曲に何か思い入れとかあります?

B: デモの段階でベースがメッチャがっつり入ってて、ヤバイ、これは気合入れなきゃと、重ねるギターも暴れなきゃと焦りました。

オ: 良い意味でフュージョンらしい曲って事なのかな? どうギターを料理するのか楽しみでもありました。

■アドリブフレーズの作り方

オ: そういや折倉さん、結構悩んでたよねこの曲。

折: もう、半年以上前に弾いた曲だから作業の内容とか記憶が薄いですけど(笑)。

オ: なんだろ、(後から弾いた)BBさんのフレーズを聴いたとき、「なんでこのコード進行でこんなフレーズが出るんだ」って言ってませんでしたっけ?

折: あ、そうだそうだ思い出した!(BBさんの方を向いて)なんでなんですか?

B: ……Feeling。

折: (笑)。

B: メタルの神様が来て「お前はメタルギタリストなんだからフュージョンに逆らえ」って言われた気がして(笑)。

折: そんなお告げが(笑)。

オ: でも、弾いてるフレーズはバリバリフュージョンですよ(笑)。

B: (アドリブの録り方として)ソロフレーズを録る時に、いつもオケを流しっぱなしにして最初は何も考えないで弾き始めて、「おっ、いまのクールじゃない?」みたいなのを少しづつ録りためていくんです。

オ: へー。自分で修正しながら弾いていくんだ。

B: そうです。ずっとループ再生して、いろいろアレコレと試してみて調整していくみたいな。

折: 感性の赴くままに……。

B: で、どうしようもなく困ったコードの部分だけ(再生を止めて)考え直してみたりとか。

オ: 基本は流しっぱで、都度都度アドリブを乗せて試行錯誤している感じなんですね。

折: そうだ、こないだ別の仕事で収録演奏する機会があってそこで発覚した事実なんですけど、どうも私は頭で考えてから弾かないとダメなタイプみたいです。フィーリングで引き始めようとするともう、全く追いつかない、グダグダなのしか出てこなくて(笑)。

オ: 自分の中でしっかりとソロフレーズを構築してから弾き始めないとダメってことなんですね。

B: でも、私もループで回し始めの10回くらいはホント最悪でヒドいのしか出てきませんよ(笑)。そもそもキーが違ってたりとか、弾き終わりが半音ズレてるとか……。何百回も弾いてやっと固まるみたいな。

オ: ふぇ……そうなんだ。当たって砕けろ的じゃないですか。

B: スポ根ですよね、「このフレーズがダメだったから今度はこっちの引き出しで弾いてみるか?」とか、もはや千本ノック(笑)。

オ: そんな苦労の上で成り立っているアルバムってことですな……そりゃギター汁も出ますわ(汗)。

折: 基本的にどの曲もアドリブソロはあるはずだから同じだけのプロセスを経ているって事なんですかね……凄いな。

オ: そういや俺も、このコード進行でどうベースラインを乗せようかなってのは感覚で弾いてるところはありますね。……でも最終的には手グセばかりが目立ってしまって(笑)。私がよくやる手グセは、「1-5-9-8」ってライン(Cのコードで、ド→ソ→オクターブ上のレ→ド)。

折: いや、9は必須ですよ(笑)。

オ: もうね、このアルバムの至るところで出てきますよ、このライン(笑)。

B: 9をキライな人はいませんから(笑)。昔、ポールギルバートの教則ビデオを見て、いろんなフレーズの作り方を勉強していたんですけど、最終的には「速ければどの音使っても大丈夫だ」的なこと言ってましたね。

折: なんだそれー(笑)。

B: 「ちょっとズレた音を入れるととってもクールだろ?」みたいなことを言ってましたね、バカ正直に受け入れました。

オ: アウトスケールはフュージョンの常道ですからねー。その辺にあまり理論とか持ち込んでも面倒ですしね。ただ非常にセンスは問われますよね。「Creative Summer」の曲も、当初書いていたテーマフレーズはアウト感バリバリだったんですけど、一晩寝かせたらぜんぜんイケテなかったのでボツにしました(笑)。

B: takrockers!!の曲でアドリブを録ってる時に「おぉっ!綺麗にスケールを外れた!」って思って、データを仲間に渡すと「ちょっとココ、音外れてるから直して」ってダメ出しが来て、しかもご丁寧にコードの解説とかされて恥をかくってケースがたまにあります。

オ: 意図がうまく伝わらなかった悲しみが(笑)。

B: でも確かに一晩寝て聴き直してみると、こりゃ無いなってなってる(笑)。録ってる時は最高にクールだと思って弾いてるんだけど。

オ: だからどんな状況でも、寝かせるって大事ですよね。

※……話題が先にTr.8『Creative Summer』の話になってきたので、後ほど語ります!

■Tr.6『Labyrinth of Sand』

オ: この曲は、とにかく他の曲が激し目テイストで続いてたので、一回ちょっと落とすというか、アコギの曲とはまた別に落ち着いたエレキの曲が欲しいなってことで書いたんですよね。で、これは折倉さんに弾いていただこうかなと。

B: ギターバラードですよね。

オ: 緻密な、計算され尽くしたフレーズを手がけるのは折倉さんの得意とするところだろうな、と。

折: 発注メールに注釈で「マイルドな感じの音色でお願い」って書いてありましたけど、それを読む前から既にピックアップをセンターに選択してました(笑)。この曲のメロディはそんな感じの音色だろうなと。

オ: なんというか、スモーキーな感じが出したかったんですよね。だから折倉さんのギターデータを頂いてからも、さらに調整しました。

折: 自分の使っているギターはそこまで音色を追い込めないですからね。

オ: 音色を作り込んでいく上で、エフェクト作業でEQでハイを落としたり、コームフィルターを掛けたりしました。かなりザクザクやりましたね!

B: それでああいう気持ちの良い音になるもんなんですね。

オ: そそ、いい感じでスモーキーになって来たなって……あのね、曲のイメージとしては「蜃気楼」だったんです。だから、タイトルも「ラビリンス オブ サンド」って、ちょっと中二クサイ感じなの(笑)。

折: なるほど(笑)。

B: 「ミラージュ」と言わないで、遠回しな表現を(笑)。

オ: そそ(笑)。それに(蜃気楼の出る)砂漠って、サンドじゃねーだろ!って、その辺の至らない感じもまさに中二感(笑)。

B: リアル中二(笑)。

オ: というわけで、イメージは「蜃気楼」ってことで、そんな雰囲気で弾いてもらえればなぁって指示を出させてもらった訳ですが、バッチリなアドリブフレーズで上がってきましたよね、アレは絶対俺の中では出てこないフレーズだわ。

B: いやらしい……(笑)。このオトコいやらしい。

折: 濡れ衣です(笑)。

オ: いかにも折倉さんのプレイらしい曲になったんじゃないかなと思います。カッチリした進行の中にも揺らぎを持たせるような曲調なので、ソロの中でもかなり揺らいでくれてて気持ち良くハマったなと。

折: テンポが速い曲だと、そういう表現が付けづらいってのはありますからね。

オ: あとね、バックで弾いてもらっているアコギが良いんですよ。私の方でも、打ち込みの段階で結構作り込んだデモを入れていたんです。まぁ別にこの通りにやってくれなくても良い訳なのですが、雰囲気は伝えたくて。

B: アコギがいやらしいのは本当のエロですよ。

オ: (笑)。最初の方に、伝わるかなー?って思いながらも、ハーモニクス奏法を打ち込んでいたのですが、バッチリ再現してくださってました!

折: すごく分かり易かったです(笑)。

オ: このハーモニクスは(リアルな演奏でも)出るよねって(笑)。……確かにそういう意味では、作家側がギターを触っている(勝手が分かっている)ってのはダビング作業(※打ち込み→生演奏に差し替える作業)のやり易さに繋がっていたかもしれませんね。

折: ギターの構造が分からないとハーモニクスを書くのも難しそうですよね。

オ: 「このハーモニクスは出んだろ」って?

B: 一つ一つは出ても、全部いっぺんにだと「指こんなに広げられない!」みたいな(笑)。

■Tr.7『interlude Orikura-style.』

オ: 折倉さんに書いていただいた曲です。最初デモを頂いたときは、あまりギターフィーチャー度が見えなかったんですよね。ギターのギの字くらいしか(笑)。むしろ、弾いてくださいと頼まれた私のベースの方がフィーチャーされてしまってて。

B: ベース曲みたいな感じに(笑)。

折: 裏をかき過ぎちゃったんですよね。ギター推しばっかりの曲群だったから、インタールードだし、箸休め的なのが求められてるのかな?って。

オ: 要らないからそんなの!

折: (笑)。

B: もっと熱く!……松岡修造みたいですね(笑)。

オ: なので、最後のメロディ部分がシンセだったのをギターに差し替えたり、ギター成分を多くしてもらいました。

■フュージョン曲における「作曲家」とは

オ: あとは、もうちょっとベースをパキッとエッジ立たせて(データを)送ってあげれば良かったかなって。せっかくスラップをメインで弾いて収録したんで、もうちょい締まった感じにすれば良かったかなと。

折: あの曲って、いわゆる8小節区切りのシンプルな構成で展開して行くんですが、弾いていただいたベースのデータが、最初の8小節はこのパターン、次の8小節はこのパターン……っていうキチンとした区切りになっていなくて、変なズレ方をしているんですね。むしろそれが新鮮で面白かったです。

オ: あー(笑)。もうね、意図した訳ではなくて、その都度その都度思いつくままに弾いてるだけなんで……「あ、ここで終わりたいんだけど曲の方が終わってねぇ、しゃーない字余り的に付け足すしかねぇ!」って(笑)。

B: まさにフィーリング(笑)。

オ: ああいう、シンプルなワンコード進行だと、弾き甲斐がある反面、どんどんネタが枯渇していくのでアタマが雑巾のように絞られますね。

B: 今度の8小節どうしようみたいな。

オ: まだあるよ、ヒーって(笑)。……みなさんもそうじゃないですか?

折: 単純に引き出しがどんどん足りなくなっていきますね(笑)。

B: Odiさんの曲、ソロの時間が長いから(笑)。「おっと、まだ半分だったー!ここで完全に終わる体で考えてたー」ってケースもままあります。

オ: (アドリブは)完全に丸投げしてますもんねー。尺伸ばしをプレイヤーに押し付けるなよ(笑)的な。

B: (セクションで言うところの)Aメロのコード進行でソロが終わるかと思いきや、Bメロもかい~って。

オ: でも、フュージョンはそれが醍醐味だから。歌モノだと構成をしっかりと深く考えないといけないけど、フュージョンはとりあえずテーマ固めてしまえば、あとはグルグル回してれば(ループさせれば)いいやって(笑)。

B: 遊び様がいくらでもあるジャンルですよね。

オ: そそ、だからねぇ……ことフュージョンの曲に関しては、作曲家はあまり作曲家を名乗っちゃいかんね(笑)。どっちかというと、音の設計屋というか。とりあえず図面は引くから、あとはみんなそれぞれのスキルを持ち寄って作ってよって。

B: プロジェクトマネージャーみたいなもんですかね(笑)。

折: 確かにそうかも。

オ: そういう作り方だよね、フュージョンってジャンルは。土台だけ作っておくから、あとはよろしくーって。みんなで作る……フュージョンの理に叶っているんじゃないですか? みんなで作る、みんなが主役。

折: クラシックの世界の真逆をいく感じでしょうか。

オ: だからこそ、面白い曲が出来るんだろうなと。

■Tr.8『Creative Summer』

折: ギターとかの「竿モノ」を触っている作曲家なら感覚として、例えばアルペジオで半音をぶつけるとか結構普通にやると思うんですけど、その感覚が掴めていないと、なんか音並びを変に使っているようにしか聴こえなくて、結果そのフレーズを弾くことが出来なかったりするんですよね。そういう意味では今回のプロジェクトはとてもやりやすかったです。

オ: そう言っていただけるとありがたや……でもこの曲(「Creative Summer」)に関しては、結構自分でも無茶振りかなーって思いましたけどね(笑)。

B: 頭抱えましたもん(笑)。フレーズを弾きこなすための練習量が、千本ノックが二千本ノックになった感じで。

折: 収録する日に、この曲と別案件の曲をタスクとして挟んでいたのですが、取り掛かり始めたら「こりゃ2つは無理だ」と思いました(笑)。

オ: そうそう、折倉さんから泣きのメールが来たから「こりゃ(運指的に)ヤバイのかな」と(笑)。一応、自分でもギター抱えて「同じワンポジションで弾けるな……うん弾ける弾ける」って思って書いていたつもりではあったんですけどね。

折: ひょっとしたら解釈が違っていたのかもしれませんね。

B: すごいタッピングとかになりましたよねぇ。

オ: うそーっ!

折: ライトハンドで出来るものなのかな……とか。

B: 「弦飛びライトハンド」みたいなことをやってやっと弾けるフレーズだなって思って、しばらくそれで頑張って練習していたんですけど。……きっとこれで頑張るのはベクトルとして間違っていると(笑)。

折: まずはそこを模索するところから始めますよね(笑)。

■「思惑の食い違いも、気合いで乗り切れる」というケース

オ: いや、正直なところ、テーマフレーズの前に1小節飛ばしの4回挟み込むギター演奏が出てくる箇所があったと思うのですが、皆さんしっかり弾いてくださってましたけど、あそこはあくまで「ここにアドリブ入れてね」って意味合いで打ち込みを入れていただけだったのですよ……実は(笑)。

折: なんという衝撃な事実!

オ: (先行で演奏した)折倉さんがしっかり弾いてくださっていたから、んじゃそのままこの流れでBBさんもよろしく~みたいな、ね(笑)。

折: 確かに今考えると、あの場所は遊び場だったかもですね。

オ: だから、別にあの通り弾いていただく必要は無かったですし、そのつもりでこちらも書いていたに過ぎないので……あぁだから、あのフレーズは運指のこと考えて無かったかもしれない(笑)。

B: こんな難しいフレーズがあって良いものだろうかって思いましたよ!

折: まさにそこでウチらは泣きを見たんでしょうね!

■ミックスの妙技

オ: そんなこんなで皆さんの熱い演奏データをもらいミックスしていたのですが、ピアノが打ち込みのままだったのでね、ちょっとここまで気合い入れて作り込めたのに、バックのピアノが打ち込みのままってのもなぁ……って感じ始めて。

オ: なので、その勢いで圭ちゃんにメールして「弾く?」って(笑)。

B: 出た、スーパーピアニスト(笑)。

オ: 速攻で色よい返事が返ってきたので、この曲のサンプルを聴かせたら「こういうの好きです!やります!」って来て。

折: 困ったときは彼を。

B: 今回コレが一番ビックリした。

オ: で、ちょちょっと演奏用の資料をまとめて彼に投げたんです……したら、ものの1時間でデータがあがってきました(笑)。

折: 速い!速すぎ(笑)。

B: 一番フィーリングで弾いちゃう人じゃないですか。

オ: 「昼休み中に、もうなんか色々細かいこと考えずに弾きました♪」って来て。ほぉ~と思ってデータ開いてみたら、(他のパートを)全て食いまくるくらいの存在感ある演奏データでした(笑)。

B: さすがAB型(笑)。

オ: うわ~圭ちゃん全部持って行っちゃったよ、って(笑)。

B: 一瞬にして鍵盤曲に……。

オ: そんななんで、一気にミックスのハードルが上がっちゃったんです。どれを立たせようか?って。これ、何も考えずにミックスしていったら完全に「圭ちゃんオンステージ」の曲になってしまうなって(笑)。

オ: で、色々と試行錯誤していたんですけど、圭ちゃんのピアノパートを思いっきりステレオを広げて、なんだろ、空気のように漂わせるような配置にしてみたのです。んで、ギター二人とベースと、って感じで配置して。

B: Padの音色みたいな感覚でしたね。

オ: だから、場所によっては右から聴こえたり左から聴こえたりって言う変なピアノだったと思うのです。

B: そう、だからヘッドホンで聴いているとすごい面白くて、相対的に「ギターの俺はどこに居るんだ?」って錯覚を覚えました。

オ: とりあえず圭ちゃんが活躍するイントロ部分とかソロ部分とかは、ちゃんとステレオ感を戻してたんですけど、後はぐわっと広げました!拡散。

B: 拡散希望(笑)。

折: 確かに脇で好き勝手弾いてる感じに聞こえますね。

オ: そんなことをしながら何とかまとめました、大変でした(笑)。

■Tr.EX『Dog Fight』

オ: てなわけで、今の曲でギターフュージョンとしての体裁は幕を閉じまして……圭ちゃんからも楽曲提供頂いたんですけど、最初聴いてみたときに「これはギター曲というより、圭ちゃん曲だな」って思って(笑)。

折: 結局そうなるんだ(笑)。

オ: 今回のアルバムのコンセプト的にちょっとズレちゃうかな?って思ったので、トラックの最後に当てて、わざわざ「EX」って振って。

B: エンディング……みたいな?

オ: エキシビジョンですね。

折: エキストラではなくエキシビジョンですか(笑)。

オ: アイススケートのエキシビジョンみたいな感じですよ(笑)。

折: 親善試合みたいな。

B: 番外編ですね。

オ: 後半のギターの入り方とか、すごい「カシ○ペア」くさくて(笑)。圭ちゃん本当にありがとうございましたって思いました(笑)。

B: まさにその感覚で「あぁ俺はこのメロを気持よーく弾けば良いんだな」って。

オ: 最初はギター以外のダビング周りは圭ちゃんにお任せしていたのですが、紆余曲折あって私がベースを弾くことになったので、折角頼まれたし、気合い入れて一徹して仕上げました……圭ちゃんのように1時間でサクッと弾けるプレーヤーじゃないので(笑)。

B: 夜なべベース(笑)。

オ: スラップとフィンガーを織り交ぜたベースラインで結構苦労しましたね。全曲の演奏の中でも一番頑張った方じゃないかな。

折: まさにエキシビジョン。

オ: だってさ、あんな長々とベースソロの箇所作っててさ(笑)。なんで?なんでこんなにベースが活躍するの?俺、ギターフィーチャーって言ったじゃん!って(笑)。

折: これも裏をかこうとしたんじゃないですか?

B: みんな裏をかこうとしていると。

オ: サンプルで送られてきた圭ちゃんのベースソロの打ち込みの方が全然格好良いんだもん。いいじゃんこれでって(笑)。タッピングとか入ってたし、再現はムリ(笑)。

折: やりすぎ(笑)。

オ: とりあえず、自分が出来る範囲で頑張って仕上げて。そしたら「良いじゃないですか!」って返事が返ってきて。「でも色々と活かしたいのでちょっといじらせてもらっても良いですか?」ってきたので、「あぁ全然良いよ、好きなようにいじっちゃって」って返したら、本当に好きなようにいじってましたね(笑)。

B: そうだったんだ(笑)。

オ: これ圭ちゃんに言うと「そんなことないですよ、ちゃんとフレーズ活かしてますよ!」って怒られちゃうんだけどさ(笑)。確かに素材は活かしてくれてるけど、より格好良くお化粧してくれてるなーって。綺麗なジャイアンを見ているかのようで(笑)。

B: 美しくメイクアップですね(笑)。

オ: BBさんもなかなかな活躍の演奏をされてましたよね。

B: なにげに悩まされて「これはどこまでどう弾けばよいものやら」って。めちゃ圭ちゃん出張ってるけど、俺が入り込む余地あるんかいな?って。

オ: そうそう、基本「ピアノ曲」ですからね(笑)。

B: 好きに弾いてくださいって言われたけど弾くところねーじゃん!って思って(笑)。

折: かえって制約があった感じですか。

オ: でも最後のソロ回しのところのスィープ(※ギターの奏法の一つ)が私は好きですよ。良いスパイスになっていて。

B: えぇ、オイシイところはちゃんと頂きました(笑)。

オ: そういった意味でも、良い「エキシビジョンマッチ」になったんじゃないですかね。

■総括

オ: そんな感じで、長々と視聴しながらのトークを繰り広げてきました。総じて、改めて濃いアルバムになったなーって印象ですが、いかがでしたか?この企画。

B: 久々に「ガッツリギター弾いたな!」って充実感がありますね。

オ: ね、なんか凄い「俺得アルバムだ」って言ってましたもんね(笑)。

B: えぇ(笑)。とても楽しかったです。弾いても楽しいし聴いても楽しい。

オ: 自分たちが作り上げたのに、自分たちも聴いていて気持ちが良い、楽しめるアルバムになりましたよね。

折: 「ツインギター」ってそうそうやる機会が無いですから、BBさんとこう大々的にやり合えて嬉しかったです。

オ: いやホント、たくさんの人に聴いて欲しいですね。

B: 是非(笑)。

オ: お願い致しますって事で!

折: 長々とよろしくお願いします(笑)。

オ: これからも機会を作ってちょこちょこ宣伝して。長くリリースしていきたいですね。

オ: ……と言った感じでしょうか。お二方、今日は長時間にわたり座談会にお付き合い頂きありがとうございました!

B: お疲れさまでした!

折: ありがとうございました!